なぜエボラ出血熱やデング熱などの感染症が大流行しているのか

2014年10月12日(米時間)、米テキサス州ダラスの病院関係者が「エボラ出血熱」に感染したことが明らかになりました。

同州の保健当局者によると、この関係者は7日に発症が確認されたリベリア国籍の男性の治療を担当していたということです。

防護服を着用して治療にあたっていたにも関わらず感染したこの事例に対し、米疾病対策センター(CDC)は「重大な規則違反があった」として、接触した可能性を示唆しています。

(日本経済新聞10月13日より引用)

9月に開催された国連総会でも議題にとりあげられ、世界的危機と認識されている「エボラ出血熱」。

全世界で感染者は2万人を超えているとの見方もでており、米政府は、この対策のために関係諸国に米軍4千人の派遣を表明、封じ込めに奔走しています。

また、8月以降、日本国内で69年ぶりに「デング熱」患者が報告され10月8日現在で158名を記録、中国においては10月12日に3万人を突破したことが報告されています。

このように感染症が世界的に猛威をふるっています。

なぜ、このように爆発的に広がりをみせているのでしょうか。

これらの感染症流行の経緯

エボラ出血熱は、1976年南スーダンで初めて確認された感染症で、鼻や消化器から激しく出血、致死率が50-80%という難病です。

エボラ

(引用:ウィキペディアより)

エボラウィルスに汚染された排出物や唾液などから感染し、その大元については、一時はサルや豚などを媒介して感染するものと考えられましたが、現在ではコウモリからの媒介が考えられています。

2014年2月からギニア、シエラオネ、リベリアといった西アフリカ諸国で流行がはじまり、一時は収まるものとみられましたが、7月に入り再拡大。

西アフリカだけでなく、その患者治療のために輸送された先での感染まで危惧されていて、米以外の欧州諸国まで感染が拡大する可能性も取りだたされています。

一方、デング熱はネッタイシマカやヒトスジシマカといった蚊を媒介して感染するもので、はしかの症状に似た皮膚疾患をともない、発熱や頭痛などを引き起こします。

ネッタイシマカ

(引用:ウィキペディアより)

基本的には数日で完治しますが、再度感染した場合、てんかんなどの症状をともない重症化する場合もあります。

2013年8月に来日し、日本国内を旅行したドイツ人夫人が感染したという例が報告されていましたが、感染源の特定などがされていませんでした。

2014年8月27日、東京・代々木公園での感染が報告され、東京都は薬剤散布などを行いましたが、その後も他の公園での感染例が報告されており現在に至っています。

なぜ拡大を許してしまったのか

エボラ出血熱の場合

今回、2月にはじまった西アフリカ諸国での流行は一旦は収まりかけましたが、結局再拡大を許してしまっています。

これらは、当時亡くなった方の埋葬の際に、感染者の体に触ったりなどしたことによる再感染が考えられています。

さらに、エボラ出血熱に対する正しい知識が現地で普及していないこともあり、完全隔離されなければならない患者が親族などにより勝手に外に連れ出されてしまったり、また医療施設への襲撃(医療機関がエボラを拡大させているというデマなど)で医療活動が遅々として進まないこともあります。

また、米軍をはじめ軍・警察を投入し感染地帯の封鎖を行っていますが、既に感染してしまった人などの見わけは難しく、それらの人が飛行機・船などにより移動してしまっていることもあげられます。

各国とも検疫の強化を表明していますが、現実にどこまでできるのか、疑問視する向きもあります。

デング熱の場合

今回は、中国で拡大したデング熱流行が日本に波及した形となっています。

特に感染者の多い広東省では、ごみの処理が不完全なために拡大を招いているとの指摘があります。(サーチナーの記事より)

日本の場合は、初動の対処は比較的早かったのですが、発生源を「代々木公園」と固定してしまった向きもあり、それに振り回された感も否めません。

ただ、どちらの感染症についてもいえることは、世論がこれまで「無関心」だった、ということでしょう。

インフルエンザなどの場合、先進国・発展途上国問わず対策が必要とされてきましたが、これらの感染症の場合、地域が特定されていて、特にWHO(世界保健機関)の資金拠出の大半を握っている先進国にとっては「対岸の火事」程度のものでした。

ゆえに、製薬会社なども対策には本腰をいれず、ワクチン開発も後回しにされてきたことは否めません。

これからどう対処していくのか

エボラ出血熱、デング熱ともに有効な治療手段は今のところ確立されていません。

ただし、双方ともワクチンの開発が急ピッチで進められています。

エボラ出血熱に関しては、米マップ・バイオファーマシューティカル社の「ZMapp」や日本の富山化学工業がインフルエンザ用に開発していた「アビガン(ファビピラビル)」といった未承認薬の投入が現在行われています。

「ZMapp」については、8月4日以降に実験的投与がおこなわれ、2名の命を救いましたが、別の2名について、一時的効果をみせたのちに死亡という結果がでています。

この結果についてさらに検討を重ね、臨床実験を行うことになっています。

「アビガン」については、9月27日にフランスの病院で投与が行われ、こちらは10月に至り無事回復したとの結果が出たということです。

同日、フランス政府はこの「アビガン」を利用した中規模な臨床試験をギニアで行うことを発表しました。

デング熱については、9月8日日本の武田薬品工業が来年度に予防ワクチンの臨床試験を行うことを発表しています。(日本経済新聞2014年9月8日)

 

地球温暖化の影響で、本来なら熱帯でおこるような感染症は、より北へと北上しているということです。

今夏はデング熱の流行にさらされた日本ですが、今後どのような感染症がもたらされるのか、予断は許されないところです。

ワクチンを含めた薬剤の開発も進めなければならないのは言うまでもありませんが、それにもまして、環境に対する配慮、感染症にならないための自己防衛策を身に着ける必要は大といえます。


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