なぜヘリウムガスで声が変わるのか?
ヘリウムガスと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
ヘリウムガスは空気よりも軽いため広告用のバルーンや気球、パーティー用の風船などにも使われています。
また、ヘリウムの入ったボンベはパーティー用のグッズとしても市販されています。
このヘリウムと酸素の混合気体を吸い込むと、声が高く変化します。
アヒルような、特徴のある高い声になるので、この現象は俗に「ドナルドダック効果」とも呼ばれています。
今回はなぜヘリウムガスで声が変わるのか、を考えてみましょう。
発声の仕組み
まず、私たちの声はどのように発声されるのでしょうか。
私たちの体には声帯と声道があります。声帯はのどの奥にあり、声帯を振動させることが発声の第一段階です。
そして、その振動が声道、つまり喉に伝わり、中の空気を振動させることによって発声するのです。
声帯の長さや形、振動のさせ方の違いが発声される声の質の違いとなります。
また声道の長さや太さ、形も伝わる振動に強弱をつけます。
声の高さは、声道の長さと声の伝わる速さによって決まってきます。
声道が長いほど、高い振動が強められ、高い声となって発生されます。
声の伝わる速さが速いほど、声道の振動の周波数が高められ、高い声となって発声されます。
声の伝わる速さは、声道の中の気体の種類と密度によって変化します。
気体の密度が小さいほど、声は速く伝わり、振動の周波数も高められるので、高い声となります。
なぜヘリウムガスを吸うと声が変わるのか
ヘリウムガスは空気よりも軽く密度も小さい気体です。
音の振動は空気の中では毎秒331メートルの速さで伝わるといわれていますが、ヘリウムガスの中ではなんと毎秒970メートルの速さで伝わります。
ヘリウムガスを吸い込むと、肺や声道の中の気体のヘリウム濃度が高くなり、声は速く伝わり、声帯の振動の周波数も高められ、高い声となって発声されます。
ちなみに二酸化炭素の中では音の速さはもっとも遅く、毎秒258-269メートルといわれています。
ですから、声道の中の二酸化炭素濃度が高くなると、声は低くなるのです。
ヘリウムガスを吸い込むときの注意
ヘリウムガスは無色、無臭、無味、無毒の希ガスです。
血液にも溶けにくいので、吸い込んでも人体への影響は少なく、安心して使えるといわれています。
しかし、純粋なヘリウムガスを吸うと、酸欠状態による呼吸困難になるケースもまれにあり、注意が必要です。
パーティー用に売られているヘリウムガス缶には酸素が20%ほど混合されているので安心して使えます。
ドナルドダックはディズニー短編アニメ映画のキャラクターでアヒルがモチーフになっています。
その歴史は古く、初登場は1934年でした。
はじめは脇役でしたが、その独特なキャラクターが人気を集め、ドナルドダックを主人公とした短編映画シリーズはロングセラーとなりました。
その性格は短気で、喜怒哀楽が激しく、自己中心的な面もあり、人をからかうことが大好きでかなりの毒舌。
今度パーティーでヘリウムガスを吸うときには、ドナルドダックを演じ切ってしまうのも面白いかもしれませんね。
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